週末スーパーマーケットに行くのが密かな楽しみである。日々必要な食材を買いに行くのが第一義であるけれど、シャンプーや石けん、トイレットペーパーの値段やブランドをみて「ひゃー、これ日本より高いわー」とか「ユニリーバの既存ブランド現地化はスゴい」などとマーケティング的発見をしては、一人ちまちま学習している(笑) 
 楽しいはずのお買い物。支払いの段階で、いつもささやかなストレスになることがあった。ここベトナムのスーパーでは、買い物をすると気前良くレジ袋に入れてくれて、2袋ですみそうなところが4袋になったりする。「あ、袋増やさなくていいから」とつっこみたいのだが哀しいかなベトナム語で言えないため、結果としては4袋両手にさげてとぼとぼ帰途につく。このレジ袋、厚めのポリエチレン生地で出来ているため畳んでも場所をとる。 捨てるのもちょっと...。東京では10年以上エコバッグ使ってたから、レジ袋なんてウチには一枚もなかったよ。そんなささやかなストレス。じゃあ、エコバッグ使えば、と思いますよね。で、試してみたわけですよ。  
 私はホーチミンで5つのスーパー(うち1つコンビニ)を使い分けている。 そのうち2つ(以下スーパーA,B)は、バッグを持ち込めない。エコバッグもダメ。万引き防止とかで、入り口で持参のバッグをロッカーに預けて財布だけを持ち込むシステム。ご丁寧にも入り口には、それ専用の監視係が立っている。スーパーAで、エコバッグがダメならば、とその店でいただいた使用済みレジ袋をたたんで持ち込もうとした。不思議なことに、これは監視員チェックOK。商品選択をすませ、さてレジに到着。レジ係のお姉さんに古いレジ袋を渡したところ、その袋に買った品物を入れてくれる。やったー!やればできるじゃん!との喜びも束の間。彼女は最後に、古い袋を新しいレジ袋に入れて渡してくれた。どう、私って素晴らしいでしょ、との微笑みと共に。
 スーパーBは某百貨店の最上階にこっそり息づく店で、いついっても客がいない。私がここに行くのは1000円から1800円のデイリーワインとナッツの品揃えがいいから。ある日古いレジ袋を支払いの際に出してみた。小綺麗なレジ係の男性は淡々とワインとナッツを袋に入れる。あれ、大丈夫だ。しかーし。ここでも最後に新しいレジ袋をかぶせられた。とほほ。「どうして新しい袋を重ねるの?私はこの使い古しで大丈夫よ」と訪ねたところ彼はこう言ってのけた。「madamには、newでwrinkle-free(折り目のない)袋をもってほしいからですよ」煙に巻かれて真相はわからず。ちなみに彼はいつも(ここはレジ係は2人しかいない)「今日も綺麗ですね」とか「素敵なワンピースを着ている」とかイタリア人のようなセリフをしゃーしゃーと言ってのける、僕はガイジン対応に慣れてますよオーラをいつも醸し出している不思議なベトナム人である。 
 さてスーパーCである。この店は幅広い品揃え、とくに牛乳類のバラエティが豊富なためベトナムのWorking Motherに支持をエコバッグ
得ている量販店。ホーチミン市内にも数店舗ある。どの時間にいっても客で活気に溢れており、入り口でバッグを預ける必要もない。沢山あるレジもいつも行列ができている。ある日、全く客のいないレジがあることに気がついた。レジ係と目があってしまったので、足を運ぶ。バーコードを読み込むのは、金髪に近い茶髪のベトナム人である。ベトナムでは、黒髪が圧倒的で、K-POP ファンのごく一部が濃いめの茶髪くらいで、黒髪純血主義が保たれている。私も彼の髪の毛を見ながら「この人、不良かしら」「ちゃんと会計してくれるかな」などと昔の日本人のおばちゃんみたいに観察しながら、でも試しにそおっとエコバッグを出してみた。すると彼は「Thank you. Eco bag is popular in America. I know」と言うではないか。偉いぞ、茶髪。ホーチミンに来て2か月が経とうとするころ、私はようやくエコバッグを使うことができた。それ以降、レジに茶髪を見つけた時はそこに行くようにしている。ちなみに他の店員は、不思議そうな顔をしてバッグを突き返してくる(笑)
 おまけ。日本でも有名なコンビニエンスストアD。ここは日本商品と日本人がベトナムで作っている無農薬の野菜を置いているため、日本人と裕福なベトナム人が顧客というユニークなコンビニである。ある日使用済みのレジ袋を出してみた。すると店員が集まって何やら相談をはじめるではないか。彼らの答えは「マニュアルに書いてないので、その袋は使えません」と。あっぱれ日本のマニュアル。
 そもそも論として。大量生産、大量消費が調子に乗ってきてこれからまだまだイケるという国に、エコロジーの理論を持ち込むことが時期早尚なのかもしれない。ドイモイという市場解放から30年と少し。市場経済にえっちらおっちら追いつこうとしている国には、企業のロゴをきちんと見せる、というマーケティングの基本の方が大切かもしれないのだ。私のささやかなエコは、エゴでしかないのかも。
 写真は、豆乳についてきたバッグ。薄地。ローカルの社員に使い道を聞いたら「ランチのときに、お財布とケータイと入れるのにちょうどいい」ですと。