2014年11月

 この土日で100時間は寝たと思う(笑)。それくらい休養が必要でした。なにせ気管支炎になってしまったものでして。
 11月9日から16日までOne Show Chinaの審査と講演でPM2.5の北京に滞在。たまたま同時期にAPECが開催されたため、
最初の数日間は見事な青空を拝むことができました。周辺工場の稼働を止める、交通量を制限する(ナンバープレートの最後の一桁の数字によって運転できる車を指定)といった策で実現された、みなさんもご存知の"APECブルー" であります。夜も北京の主要道がライトアップされていて、こんな素敵な街があるのかと感心することしきり。天安門広場周辺が最も素敵だったことが、ちょっぴり皮肉のように思えたり。 
 他にも感心したことがあります。どう見てもこのスーパー見栄はり政策、おかしい。しかし中国の人はごく普通にこれを受け入れているという事実。滞在中私の身の回りをサポートしてくれたボランティアの大学生(女子。実に優秀で可愛い)に”APECブルー”をどう思うか聞いてみたところ、昔からダブルスタンダードには慣れている、世の中そういうものでしょう、と。彼ら的には、理にかなっているらしい。
 2008年に仕事で北京と東京を往復したときもそうだったんだよなー。打合せしていて午前3時頃「ドーン!」という耳をつんざく音とビルを揺るがす衝撃が起きて「何、これテロ?」とおびえる私に、中国人スタッフは「雅子さん、違います。これはロケットの音。今ロケットをあげて明け方までに雨を降らせて空気をきれいにするんです」はじめてこれを聞いたとき、私はだまされていると思った。しかし少し経ってこのことについて書いた新聞記事を読んで本当だったと納得。そして北京オリンピックは無事開催されましたとさ。
 One Show Chinaの審査員の一人とこの話で盛り上がった。彼女は香港出身でちょっと前から中国の某代理店ネットワークのCRのトップ。その彼女から面白い話を聞いた。北京オリンピックの時に中国政府から数代理店に招集がかかり、ある施策を提案するように注文された。オリンピックの時に初めて中国を訪問するジャーナリスト、外国人は多いはず。そこで彼らに上質のイメージを与えられるようなことを考えて欲しいと。詳細は避けるが、北京空港の入国管理官は世界の諸空港のなかでも、テキパキと仕事をこなし愛想がいい(!)と私は常々思っていたが、なまら間違いではなかったようだ。ときどき鼻をほじったり、愛想をいったりしながら、のらりくらりとハンコを押すベトナムの入国管理官に彼らの勇姿を見せてやりたい。
 北京滞在の最後の二日間は、ものの見事に空がグレイになっていた。半日自由時間ができたので、地下鉄に乗って王府井(ワンフーチン)に行った。ちなみに
王府井は昔からの繁華街で浅草と原宿を足したような場所。地下鉄の中は、マスクをした人たちでいっぱいだった。インフルエンザが流行っているときの東京のよう。それも高機能のマスク。ホテルに戻ってひと泳ぎし、耳に綿棒を入れると黒くなっていた。表には出てこない北京。
 北京にいる間は高熱と咳と痰(ごめんなさい)に悩まされた。気温33度の土地から0度の土地にいったがゆえの風邪と思っていたが、現地スタッフからいただいたクスリを飲んでも6時間しか効かない。効能書きには効き目約6時間と書いてあった。暑いホーチミンに戻ってからも止まらぬ咳と熱、全身のこわばりから病院にいってみたら、気管支炎と診断された。ケガというか外科的なものは一通りやったと自負しているが、内科系は初めてに等しい。がーん。
 この鉄のような合理性を理解するには、まだまだ時間が必要だと私のカラダは言っている ApecBlue
ApecGrey 
 
 
  

 金土日と私のfacebookには、ハロウィンやら塾高開設70周年事業キックオフパーティーにゼミやサークルの周年記念パーティー、野球の慶早戦(早稲田の皆さん、ごめんなさい。慶應では早慶戦とは言いません)といった慶應関係の友人の楽しい写真や、箱根に京都に北海道に旅する友人たちの美味しそうな写真が見事に並びました。どうやら日本は連休のようですね。ハジけてますね。うらやましい。本当にうらやましい。
 こちらに来て半年。ベトナムで連休というか、祝日に出くわしていない。そもそもベトナムは祝日が少ない。「テト」という中国の旧正月にあたる一週間ほどの休みを除いたら、1月1日正月、4月9日フン王(ベトナム建国に奔走した王様)の命日、4月30日南部開放記念日、5月1日メーデー、5月2日公務員休日の日、9月2日建国記念日の計6日しか祝日がないのです。4月30日から5月2日まで連休じゃんとおっしゃるあなた、正解。しかしこの時期私はニューヨーク出張だったし、4月9日はまだ日本にいたし、9月2日は冷房の切れたオフィスで若造たちと仕事してました。つまり祝日を一度も味わうことなく私の2014年は終わることになります。
 離れて気がついたんだけど、もしかして日本は毎月連休がありはしませんか。それは極端ですが
Halloween
元日にはじまり1月には成人の日、2月建国記念日、3月春分の日。間をとばして11月3日は文化の日、12月も天皇誕生日がある。6月と8月をのぞけば毎月祝日があって計14日エクストラに休めるわけです。そして10年ほど前から連休になるよう祝日が調整されるから日本国民は結構休んでいるわけだ。日本にいた時は「月曜まで休みだと仕事とどこおるよね〜」なんていっぱしの口をきいてましたが、そんな自分を今ならdeleteキーで消してやりたい。
 ちなみにアメリカだと全部の州が休める祝日が、元旦、一月第三月曜日マルティン・ルーサー・キングの誕生日(本当は1月15日)、5月最終月曜メモリアルデー、 7月4日独立記念日、9月第一月曜の勤労感謝の日、11月11日退役軍人の日(お休みにならない会社も多い)、11月第四木曜のサンクスギビングデー、クリスマスなどの計8日間である。意外と働いている?まあ彼らはドーンと夏休みやクリスマス休暇を取るからなあ。
 そうなのだ。自己責任で休暇が管理できる人たちは、国の定める祝日が少なかろうと多かろうと関係ない。休みを取るのに周りの空気を読んだり、気を遣う人たちにとっては、国が定めてくれる休日が多い方がありがたい。哀しいかな5日以上の休みを取るとソワソワ落ち着かない日本人には、この祝日均等制度は利にかなっているのかもしれない。毎日の天気や水やりの状態が気になる農耕民族という DNAがもたらした、ささやかな幸せのシステムとでも言おうか。
 ところで祝日が少ないベトナム人は、これで満足なのかしら。暦を眺めると祝日とは違う、祭日なるものが沢山あることに気がつく。10月20日のベトナム女性の日なんてのを初めとして、ベトナム医師・看護士の日、ベトナム教師の日など職業にまつわる休みや、面白いところでは台所神様の日、象競争祭り、餅菓子の日などといった祭日がなんと38日もある。会社や学校は普通に営業するが、会社で花を飾ったりはしゃいだりしても許される、そんな祭日。社会主義というシステムが生んだガス抜きの部分だったりして。
 今年は12月31日まで働くベトナム、を経験してみよう。そして1月1日は念願の休日。2日の金曜さえ休めば4日まで連休になるのでお正月を味わいに弾丸帰国しようかなどと、年明け早々の撮影スケジュールとにらめっこしてはため息をついている。その昔「日本を休もう」という素晴らしいコピーがあったが、私の場合「日本で休もう」という気分であります。写真は、祝日でも祭日でもないのに会社中が一日写真撮影会と化していたハロウィン(笑)

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