中国の話をもう一つしておこう。FacebookTwitteに接続できないことは2008年北京に足繁く通った頃から知っていたけれど、Google、YouTube 様々なストレージやダウンロードサービスにもアクセスできないのには正直参った。私生活のみならず、仕事に大きな支障が出た。自分がどれだけSNSや検索系プラットフォームに空気のごとく依存しているかを思い知ったのが、今回の北京滞在でした(ちなみにアクセスするために抜け道はあるらしい。ここでは記しませんが)。

 かと言って我慢していたわけじゃなく新しいものを始めてみた。WeChat。ご存知の方もいらっしゃるでしょう。中国生まれの SNSです。香港の反中デモの影響で7月1日からLINEが使えなくなった現在、中国ではWeChat WhatsApp(今年の2月Facebookが巨額で買ったアレです)が主流なんですと。私が今回始めたきっかけは、自発的というよりOne Show China という広告賞のJudgeチームの連絡網として使われていたからなんですけどね。

 WeChat、一言で言うとLINEのパクリ。が、より進化したものと考えていただきたい。●電話機能はないがVoice Messageが使える。電話に追いかけられたくない人にはこちらの方がいい。●既読といったうっとうしい機能がない。気分的にラク。LINEが始まった当初、試してはみたものの拘束されるサービスと感じてさっさと逃げてしまった私からは実に具合がいい。●写真も送れるし、それを保存することも可能。●無料ステッカーもファンキーなものが沢山ある。中国の人口分くらい変なステッカーがあると思ってください。●所属グループとは別に、個々人の関係内で自分の近況を流せるMomentsというタイムライン機能もあり、まあLINEにFacebookの主要機能を足したものだからFacebookを知らなくても生きて行けるわけですわ。自分の近く(距離を500mとか5キロとか指定できる)にいる知らない人といきなりChatができるという出会い系機能までついているのには驚きました(あ、使ってませんよ)。

 さてWeChatを運営するTencentという会社、すでに12億人の利用者を持つチャットサービスQQを成功させたのに、ここで舵をWeChatに切ろうとしているように見える。なぜだろうとQQも試してみた。QQで機能の詳細を知りたくてアイコンをタップすると飛んだ先が中国語の表記しかなかったりする。外国語アンフレンドリーなのです(ちなみにWeChatは日本語も使えます)。中国を超えて世界市場で戦おうとしているのか、WeChat。IT音痴の私が使いやすいと思うのだから、たぶんよくできている。ただしある日お国の都合で突然ストップしたりすることがないわけではない。

 Googleの代わりにはbaido(百度)がある。 でもYouTube、Vimeo、Pinterestが使えない人生は、ちょっぴりつまらない。中国の報道規制は有名だけれど、 中国組織根幹に関わる情報を流すサイトだけでなく、娯楽や交友関係に関わるサイトにもアクセスできないのはねー。どこか違うんでないの。
 One Show Chinaの審査中あるキャンペーンのフィルムをみんなで見ていて「3日間で680万アクセスはすごいね」とつぶやいたら「何いってんの、雅子。約14億人の人口考えたら7000万アクセスないと話題になったとは言えないの、この国では」と笑い飛ばされた。
*写真は香港の反中デモ現場より。11月30日深夜学生と警官隊が衝突したようですね。頑張ってください。怪我のないように。KeepCalm