1月12日にぎっくり腰をやらかした。過去にも数度やっているのだが、11-12月休みなしの労働がたたったのか今回は持病のヘルニアに抵触した感があり歩行に困難をもたらすこと3週間。激痛がひいた翌13日から治療に通うことにした。ホーチミン在住日本人腕利き鍼灸の先生オプションに後ろ髪を引かれつつ、郷に入れば郷に従えということでローカルの病院にいくことにしました。
 
ベトナムの医療+中国伝来鍼技術がウリの病院。クリエーティブスタッフの3人がそこをすすめ(ちなみに自分たちは行ったことがないという。若いから当たり前か)、弊社 CCO の旦那様がやはりぎっくり腰をやったときにそこで診てもらってよかったというので まあ間違いはないだろうと。
 鍼の前にレントゲンを撮るべしというので撮影室へ。まあこれがイイ加減で若い技師は自分はカプセルのようなところに入るのだが、私の付き添いで来てくれた2人が何の防御もなく撮影室内に立たずむのを放っているため慌てた私が2人を外に出した次第。女子を被爆させるんかい!しかもカラダの下に敷く金属板が見事に患部とズレていたためSTOPをかけて直す。患者が私のような熟練高齢者でよかったですねー。
 撮った写真を見て技師は「 no problem」と言い放ったが、明らかに仙骨と5番の間がひしゃげてハミ出てるじゃん!と10 数年前と同じ状況を見つけた私はひとり途方に暮れる。
 さて付き添い2人に両肘を持ってもらい道路を隔てた鍼灸棟へ。野戦病院の趣である。うはー。フロアに小さな部屋が幾つかあり中に3つずつベッドがある。部屋ごとに先生と看護士が一人ずつ所属している。私は弊社CCOの交渉のおかげで一番人気のDr. Son(ベトナム語で山の意味)に診てもらえる、正確にいうと鍼を刺してもらえることになった。マイ鍼を購入し、毎回10本ほど腰に差してもらい電気を流すこと30分。毎日そんな感じでした。
 単純なことと思われるだろうが、 Son先生が凄いことは彼の出張不在中別の先生に鍼を打ってもらったときにわかった。刺されるごとに激痛が走り翌日は腰だけでなく膝周りに痛みが来たのだ。毎日付き添ってくれた女性も私が診てもらうついでに長年抱えていた首の痛みを鍼で直そうと一緒に施術。彼女の場合、代理先生に刺してもらった翌日に首が回らなくなり広範囲に内出血が生じたため、鍼は怖いと通院を断念。患部を見せてもらったら私も怖くなりましたよ。
 さて Son先病院
生が凄いのは施術の腕だけではない。トークである。毎回行くごとに「今日はxxですか。エレガントですね」とか「パンツ姿だと20代に見えますね(ありがとう。ビール奢るわ)」とか必ずどこかを褒める。イタリア人英米人なら当たり前のことなんだけれど、ベトナム人でしかも医者がこれをやってのけるという事実に私はのけぞった。しかも「うちの看護婦が質問があると言うんだけど、香水は何をつけていますか」とか「口紅は何をつけていますか」とか別の部屋から訪ねてくる看護婦たちの質問も全部英語に直して私に質問し、看護婦たちにニコやかに通訳している。
病院
  Son先生 ♡の女性患者も多く、毎回往年の島倉千代子やデビ夫人みたいな化粧をしてくる人や施術中ずーっと先生に話しかけている人もいる。もちろん男性患者にも人気だ。ベトナムのヤクザと思われる男性の話は稿をあらためて。
 面白いのは私の通院時間が遅れると、付き添ってくれた女性のケータイに「今日はMasakoは来ないのか」とメッセージが入る。うーん、何かに似てる。あ、あれだ。銀座のクラブのママたちが男性諸氏に送る催促メールですよ。
 医療もサービス。マメなコミュニケーションが売り上げに繋がるのです。
(この項、つづく)
 写真は横になったベッドからの光景。患者はベトナム女性。子どものころ主治医がいた練馬区の病院に似ているなあとひとりタイムトリップ。