7時前なのに帰宅。テレビをガン見している。
 というのはベトナムと香港をつなぐ光海底ケーブルが切断されたから。今年になって3度目だよ。これが切られるとネットの速度が劇的に遅くなる。そこでオフィスより速度の早い自宅マンションに帰ってきた。ここはほぼ全てガイジンさん(私も含め)が住人だからか、何か特別のルートを確保しているのだろう。
 でテレビである。ベトナムのテレビ(以下CNNとかFOXではなくベトナムローカルのテレビ局を指す)を見ていて、いまだに慣れない事がある。
 その1。ドラマの音声吹き替えが、全て同一人物の声。たとえば韓国ドラマを見ていると、うっすらオリジナルのハングル音声が聞こえるが、それにベトナム人女性の吹き替えが重なる。万引きする5歳の男の子も、26歳の美人主人公も、その婚約者の父(たぶん)で彼女を嫌う推定63歳男性もすべて同一人物の声で展開されるから、たまったもんじゃない。というかベトナム語がいまだわからない私には単なるノイズ、それもエンドレスの。(写真。たとえばこの声の人が男性役も吹き替えると想像してください)ドラマ
 その2。一本のCMが北(ハノイ中心)と南(ホーチミン中心)だと違う言語で放映される。正確にいうと方言。北だとダ、ヅで発音するものが南だとヤ、ユになる。たとえば北だとアオダイ、南だとアオヤイ、はい皆さん大好きアオザイのことです。さらに北だと中国語に近いバッタバッタ切る感じでしゃべるが、南だと音声が「そやねー」的京都弁的やわらかさを含むものだから、方言というより別の言語にしか聞こえない。先日中部のフエというところに言ったら、どっちで話しても通じなくてなんやねんこれ、と自分のダメさにひとり突っ込んでいた。私は東京生まれ東京育ちだが、ツッコミをするときは関西弁にかぎる。まあ、そんなわけでベトナムに来てからCMは、北バージョンと南バージョンを納品している。ただし書き言葉は北中心になります。念のため。共産党本部が北にありますでしょ。
 その3。局考査(センサーシップ)が全てのCMにある。日本にいるときは、危なそうなものだけ営業さん、あるいは局担(弊社のたとえばフジテレビ担当とか日テレ担当のこと)にお願いしていたが、ここでは全てを仮編状態でセンサーシップにかけないといけない。確かマレーシアもそう。あそこは人種とか宗教とかあるから気を使わねばいけないが、ここベトナムは体制に反対していないか、セクシーすぎないか、扇情的過ぎないかとかが基準になる。ちなみに化粧品医薬品は日本の薬事ほどうるさくない。以前「えー、これ明らかに効能保証だから言えないでしょ」と言ったらローカルの営業に「全然OK。心配しすぎ、Masako san」と言われ、心配しすぎなのは私ではなく日本国と言いたかった。しょぼん。
 その4。CMの音声ボリュームやミックスをテレビ局が変えてしまう事がある。今日はじめて体験しちゃいました。ぷんぷん怒っていたら“Welcome to Vietnam!" とスタッフににこやかに言われました。詳細は書けませんが明日対策を講じないといけません。ぷんぷん
 こういうこと、他の国でもあるのかなあ。皆さんご存知でしたら教えてください。