9日ぶりにベトナムに戻ってきた。飛行機の窓から見えるライトはまだまだオレンジ色が勝っていて、白熱灯の古くて懐かしくて柔らかい光に、疲れが昇華されていく気がする。

 のも束の間。ホーチミンはタンソンニャット空港から市内に向かう私の目に飛び込んできたのは、新しいビルボードの数々。自分が関わったTOYOTAのビルボードは変わっていないが、新しいYAMAHAの大人っぽいビジュアル、SAMSUNGの新しいケータイの二連巨大ビルボード。
 驚いたのは、BMWのビルボード。知る限りではベトナムで初めてではないか。掲出場所が悪いので大抵の人は気がつかないかもしれないが、例のエンブレムをガツンとうちだし、Welcome to Ho Chi Minh City. BMWとある(*2016年4月21日現在、コピーがSheer Driving Pleasureに変わってました。何かイチャモンついたのかな)。車の写真はなし。ロゴに特化したブランド訴求。そういえば私がここに赴任したころ、Heinekenがホーチミンの空港にWelcomd to Ho Chi Minhと唱っていた。なんでオランダのビールに言われなきゃいかんの?と当初は思ったものだが、見慣れてくると、ただいまHeineken。いい企業だなあと思い始めたっけ。広告をあなどるなかれ。って、お前が言うなって感じですね。すみません。

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 そのHeinekenのビルドードは、毎年恒例サッカーのChampions League仕様に変わっている(トップスポンサーなので)。さらにはHYUNDAIのショールームが路面にオープンしているし、市場の近く中心地にある見慣れた古いバスターミナルのビル(というか小屋?)もなくなっているではないか。
 
 たった9日。されど9日。信号もいくつかモダンなデザインに変わっている。この街の成長の早さを思い知らされる。
 
 と同時に、一部のビルボードがホーチミンおじさんの肖像を描くプロパガンダに変わり始めている。なぜならあと10日強でやってくる4月30日が独立記念日だから。去年は記念すべき70周年だったため、街中すべてプロパガンダになったり通りが閉鎖されてパレードが行われたりして、ここは北朝鮮かと錯覚を起こしそうだった。
 
 外資に押され押されての資本主義と共産主義のはざまで、ベトナム人のみんなは何を感じているのだろう。