2016年09月

 9月になると、道端にBanh Trung Thu(バィンチュントウ。中秋の菓子の意味)の出店が並び出す。東南アジア名物のMoon Cakeである。日本では月餅といいますね。新宿中村屋のそれを昔よく父が食べていたっけ。

 ベトナムでは、この季節になるとお中元のように Moon Cakeが企業間に飛び交います。私の席にもベトナムのフィルムプロダクションさんから戴いたMoon Cakeが幾つかあって、まあどれもパッケージが豪華。革張りの缶とか、百科事典のような大きい本を開けると中に小箱がたくさんとか。

 ベトナムのMoon Cakeの特徴は、もっちり餡のなかにアヒルの卵の黄身の塩漬けが入っていること。最初はこの甘しょっぱい感じが苦手だったが、いまはスタッフが「Masako-san, 卵あり、なしどちらがいい?」と切ったMoon Cakeを持ってきてくれると「卵ありで」と言えるようになった。スタッフも「You Vietnamese」と笑っている。

  
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 なぜ卵の黄身なの?日本では中秋の名月というくらい、美しい月を愛でることができますね。facebookに皆さんがUpした満月をみて、ちょっと羨ましかったです。でもベトナムは雨季。しかもこのころ毎夜しとしと雨が降る。だから月に見立てて黄身を入れたという説がある。ベトナム人っぽい工夫ではあります。
(月にまつわる面白い民話があるのだが、それは稿をあらためて)


 卵のほかに、クルミや落花生、ゴマ、甘辛豚肉なども入っている上級者向け Moon Cakeもある。一方で若い世代はMoon Cake離れをしはじめているため、各企業はティラミス味、抹茶味のMoon Cakeを販売している。先週家族が日本から遊びに来ていたので、ティラミス味を一緒に試してみたが、餡というより山崎パンのクリームパンにおけるクリームにちょっとチョコ味をつけたような餡。「なんか歯磨きっぽい味がする」と母がのたまうので「ミント風味じゃないの」と返したものの、歯磨き、さもありなんと思ってしまった...まわりの皮もねっちりとしたあん饅のそれのようであり、これをMoon Cakeと呼んでいいのかと真剣に頭を抱え込む。中国人でもないのに。そういえば2年前にマレーシアで食べた、ハーゲンダッツMoon Cakeは美味しかった。チョコ味だった。

 トラディショナルなMoon Cakeにフカヒレ入れがあったので、これはスタッフに分けず(←せこい)一人こっそり食べてみたがまあお味が複雑。甘い+しょっぱい+強いフカヒレの旨味にそれを中和させようとしたのかナッツの油がガッツリ主張していて、私の繊細な味覚細胞が破壊されかけ途中でギブアップ。君はどこまで行くのか、ベトナムMoon Cake。
 
 家に帰って、住居の大家さんからもらった Moon Cakeを戴いた。シンプルで美味しい。

MoonCake


中は蓮の実の餡だけ。なあんだ、ベトナム人やればできるじゃないのとパッケージをひっくり返したら、マレーシアのベーカリーが製造者でした。
 
 旧正月のある国にMoon Cakeあり。タイや韓国のMoon Cakeはどんな味がするのだろう。ご存知の方、教えて下さい。 

 一年中夏と思われるホーチミンですが、実は微妙に季節がありまして。さいきん私もだんだんわかるようになってきました。それもお野菜から。

 日本では白いトウモロコシがこの数年人気ですね。北海道や東北産の、生で食べても美味しいアレ。ここホーチミンでも6月にチラッと店頭で見かけました。

白コーン


1本10000ドン(約55円)。安い。日本じゃ1本500円くらいしたわー、というわけで買って茹でてみたものの、味は大違い。黄色い普通のコーンより味が薄くて、ずっしりもっちりお餅みたい。トウモロコシが糖質だってことを痛感しました。でも、夏の始めにしかないということで、白トウモロコシは重宝がられているという。
 
 ん、夏の始め?
 
 5月末ごろからウチの女子社員たちが、緑色の網に入った大量のアボカドを会社の席に置いているのを発見。どうしたの?と聞くと「行商のおばさんから買った。いまが季節。カラダにいいんだよ。」とおっしゃる。
 
 しばらくすると元社員の女の子から「Masako-san アボカド1キロ40000ドン(220円くらい)で買わない?5キロで送料無料。肌にいい。秋が来ると終わりだよ」と言ってきた。 旦那の実家だか親戚だかがアボカド農家らしい。1キロで何個あるのと聞くと4−5個と。5キロだと約20個。東京にいたときも時々買っていたけど、足が早い(死語ですかね)から1個単位でしか買わなかったっけ。だって沢山買うと腐るでしょ。と聞いたら「いやいや、すぐになくなっちゃうから大丈夫だ」という。結局買わなかったけれど。
 
 こっちのアボカドは、外の皮が緑色のものと紫がかった黒の2つの種類がある。緑の皮も時間が経っても色は変わらない。スーパーで試しに前者を買って2つに切ってみると、デカい。何がデカいかって種がデカい。

アボカド

なるほど、すぐになくなっちゃうわけです。ベトナムのアボカドの種の大きさは定評があるのでしょう。7月の最盛期に一部スーパーの野菜売り場では、2つに切って可食部分の大きいアボカドを飾っていた。理由を聞いてみたら「アボカドは食べるとこがないと文句を言われたことがあるので、うちのは質がよいことを言いたい」と。ふーん。
 アボカドは、ベトナム語でBoといいます。バターも同じBo。アボカドを”森のバター”と呼ぶけれど、脂分をあまり摂らないベトナムではまさにそういう存在なのでしょう。美肌にいい。ガンに効く。老化防止にいい。とローカル社員は力説していた。あやふやな医食同源だけれど、ベトナムっぽくて、なんかいい。
 
 ちなみに人気の食べ方は、アボカドにコンデンスミルクと少しの氷を入れてミキサーでガーっとしたSinh to Bo(シントー・ボー)。いわばベトナムのスムージー。ここではどちらかというとアボカド、果物扱いなのであります。所変われば品変わる。という諺を思い出した。私もシントー・ボー試してみたけれど、ドロッと重たいアイスクリームを飲んでいるようでした。スライスしてわさび醤油のほうがいいや。アタシはやっぱり日本人。
 さっきスーパーに行ったらまもなく終売なのか、アボカドの売り場面積も小さくなっていた。夏が名残惜しくなって、ひとつ買ってしまった。わさび、まだあったかな。
 
 街には、中秋のムーンケーキ(月餅)の看板があふれている。 ベトナム語でムーンケーキは、Banh Trung Thu。Mid-Autumn cakeである。ベトナムにも秋がやってくる。

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