フィリピンはカレンダーにない休日がたくさんある。いや、政府のお達しで突然降ってくるというのが正しい。日本ならカレンダー業者から苦情がくるレベルだが、この国では全く問題にならない。で、降って湧いた11/1からの4連休。マニラから北へ車で8時間かけて行ってきました。バナウエ (Banaue) という世界遺産へ。
WelcomeBanaue

山の上である。ようこそバナウエへ。素朴である。

「あー、これTBSの『世界遺産』で見たことある景色!」 

Hapao


放映された2000年、当時私は仕事が異常に忙しく、毎週日曜23:30からハンカチとシャツにアイロンをかけながらこの番組を見ては、心を整える(長谷部か!)ことを儀式にしていたのでした。歴史と自然の偉業を週一回深夜に拝んでは、自分の悩みや仕事のいろいろなんてちっちゃいちっちゃい、と妙な安らぎを覚えていたあの頃。ふー

 トライシクルのドライバー兼ガイドのエドウインは、ビューポイントにつくと、Photo, Photoと知らせてくれる。彼はこのバナウエ町 の警官である。つまりバイト?まあこの国は副業OK ともいうし、むしろ安全だからいいとするか。
Me in Hapao
        
感動で密かに高揚している私

UNESCO看板
UNESCO による表示。Hapaoのある区は5つのエリアからなる世界遺産の一つ。

 急な斜面を滑るように100mほどくだり、エドウインは田んぼのあぜ道をずんずん歩いて行く。バナウエは山岳地帯に住むイフガオ族が2000年ほど前、急傾斜を開墾して作り上げた棚田だが、ここハパオは比較的緩やか。田んぼが引き出しのように広がる。9月に収穫は終わっているので、色は茶けているものの十分に趣がある。

Hapao 2
        台風一過で天気が良かった。
 エドウイン、幅30cmほどのあぜ道を無言でずんずん歩く。険しい段差もひらりと駆け上がるのは、警官の体力がゆえか。時々足がすくむ私に手を差し伸べて助けてくれるのはいいが、全く観光に関する説明がない。

「あの人たちはここで暮らしているの?」
「年に何回収穫するの?」
「コメ以外は作らないの?」
 質問してもニコニコするだけ。どうやら英語がしゃべれない様子。それでガイドを引き受けちゃうのがこの国なんだな。
エドウイン
        ずんずんエドウイン。私たちは90分あぜ道を歩き続けた。ほぼほぼ修行
         
 田んぼの中に教会が溶け込んでいる。他の街の教会に見受けられるスペインぽい香りがない。フィリピンは300年強スペインの支配下にあったが、ここハパオ、いやバナウエにはその気配は全くない。2000年の歴史の強さだろうか。昨年フィリピンにきて、初めてアジアを感じた場所かもしれない。世界遺産と暮らしていくというのは、どういう気分なんだろう。
                                 (この項、続く)
教会Hapao


 余談ですが、『世界遺産』は現在もTBSでオンエアされている。昔はソニーの提供だったが、今はキヤノンの提供で18:00から。今、もし若い私が東京で見ているなら、『ちびまる子ちゃん』を観るような気分でしみじみしているのかもしれない。ただ、素晴らしい番組であるのは変わりがないだろう。