7月5日 中国に支えられたW杯

 W杯は代理戦争と言われるが、経済の栄枯盛衰もよくわかる。
 
 今大会で一番見かけたのは、WANDAのバナーだろう。WANDAは中国最大の不動産企業。今回FIFA公式スポンサーの7社に仲間入りした。
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ちなみに他の6社はCoca Cola, adidas, Gasprom(ロシアのエネルギー大手),Qatar Airways, VISA、Kia motors(韓国現代自動車の一部) 。Twitterでも世界各国語でWANDAって何?とひっきりなしにツイートされる。これだけで大成功だ。
Wakanda Forever
    WANDAを見るとWAKANDA を思い出すというツイートも多かった。映画「ブラックパンサー」は恩恵にあやかったw

 2010、2014年によく見かけたバナーがインドIT大手Mahindra Satyam(オフィシャルITサービスプロバイダ。拙稿7月1日参照)だったことを鑑みると、アジアの資金あってのW杯となりつつある。日本のバナーは2006年ドイツ大会のフジフイルムと東芝が最後だった。

 そしてロシアW杯公式スポンサー5社のうち3社が中国企業だ。念のため。中国は今大会には出場していない。バナーをときどき見かけただろう。スマホのVIVO、中国家電大手のHisense(東芝がテレビ事業を売却した先)、乳製品の蒙牛。蒙牛は試合会場でヨーグルトと牛乳を販売する権利も持っている。

 この乳製品がポイント。ロシアは2014年にクリミア半島を併合。これに怒った西側諸国はロシアに経済制裁を発動したが、プーチン大統領は報復としてEU、アメリカからの肉製品、魚介、乳製品、果物野菜の輸入を2018年末まで禁止する。その間果物野菜はトルコ、モロッコ、中東から。肉、魚介類は国産で。ただし乳製品だけはEU産の高品質に慣れていた国民を国産とベラルーシ産ではごまかせなかった。海外旅行に出かけたロシア人が乳製品をこっそり大量に買ってくるため、外国産乳製品をトラクターで押しつぶすCMを国営放送でオンエアしているほどだ。中国の蒙牛は、ここに目をつけた。ロシア国民に試食してもらう最高の機会=W杯。

 おまけ。WANDAはインフロント・スポーツメディアというスポーツマーケティング会社を傘下に持つ。ここがアジアにある26の国と地域で、2018ロシアW杯および2022年カタールW杯のメディア権を獲得している。