カテゴリ: べトナム生活

 一年中夏と思われるホーチミンですが、実は微妙に季節がありまして。さいきん私もだんだんわかるようになってきました。それもお野菜から。

 日本では白いトウモロコシがこの数年人気ですね。北海道や東北産の、生で食べても美味しいアレ。ここホーチミンでも6月にチラッと店頭で見かけました。

白コーン


1本10000ドン(約55円)。安い。日本じゃ1本500円くらいしたわー、というわけで買って茹でてみたものの、味は大違い。黄色い普通のコーンより味が薄くて、ずっしりもっちりお餅みたい。トウモロコシが糖質だってことを痛感しました。でも、夏の始めにしかないということで、白トウモロコシは重宝がられているという。
 
 ん、夏の始め?
 
 5月末ごろからウチの女子社員たちが、緑色の網に入った大量のアボカドを会社の席に置いているのを発見。どうしたの?と聞くと「行商のおばさんから買った。いまが季節。カラダにいいんだよ。」とおっしゃる。
 
 しばらくすると元社員の女の子から「Masako-san アボカド1キロ40000ドン(220円くらい)で買わない?5キロで送料無料。肌にいい。秋が来ると終わりだよ」と言ってきた。 旦那の実家だか親戚だかがアボカド農家らしい。1キロで何個あるのと聞くと4−5個と。5キロだと約20個。東京にいたときも時々買っていたけど、足が早い(死語ですかね)から1個単位でしか買わなかったっけ。だって沢山買うと腐るでしょ。と聞いたら「いやいや、すぐになくなっちゃうから大丈夫だ」という。結局買わなかったけれど。
 
 こっちのアボカドは、外の皮が緑色のものと紫がかった黒の2つの種類がある。緑の皮も時間が経っても色は変わらない。スーパーで試しに前者を買って2つに切ってみると、デカい。何がデカいかって種がデカい。

アボカド

なるほど、すぐになくなっちゃうわけです。ベトナムのアボカドの種の大きさは定評があるのでしょう。7月の最盛期に一部スーパーの野菜売り場では、2つに切って可食部分の大きいアボカドを飾っていた。理由を聞いてみたら「アボカドは食べるとこがないと文句を言われたことがあるので、うちのは質がよいことを言いたい」と。ふーん。
 アボカドは、ベトナム語でBoといいます。バターも同じBo。アボカドを”森のバター”と呼ぶけれど、脂分をあまり摂らないベトナムではまさにそういう存在なのでしょう。美肌にいい。ガンに効く。老化防止にいい。とローカル社員は力説していた。あやふやな医食同源だけれど、ベトナムっぽくて、なんかいい。
 
 ちなみに人気の食べ方は、アボカドにコンデンスミルクと少しの氷を入れてミキサーでガーっとしたSinh to Bo(シントー・ボー)。いわばベトナムのスムージー。ここではどちらかというとアボカド、果物扱いなのであります。所変われば品変わる。という諺を思い出した。私もシントー・ボー試してみたけれど、ドロッと重たいアイスクリームを飲んでいるようでした。スライスしてわさび醤油のほうがいいや。アタシはやっぱり日本人。
 さっきスーパーに行ったらまもなく終売なのか、アボカドの売り場面積も小さくなっていた。夏が名残惜しくなって、ひとつ買ってしまった。わさび、まだあったかな。
 
 街には、中秋のムーンケーキ(月餅)の看板があふれている。 ベトナム語でムーンケーキは、Banh Trung Thu。Mid-Autumn cakeである。ベトナムにも秋がやってくる。

 そろそろ東京では都知事選の結果が出ている頃だろうか。午後6時現在の投票率が36.38%。前回より高いとはいえ、なんとも悲しい数字である。
 ベトナムでも5年に一度の国会議員選挙が今年5月22日に実施された。全国投票率はなんと98.77%。中部の都市では99.99%に達したという。なんで?

SaigonGP
                               
          (写真は、選挙翌日の共産党機関紙)
 そもそもベトナムは地方から都市周辺に短期で出稼ぎにきている人たちが多い。だからといってその人たちは選挙のために故郷に戻ることはない。期日前投票もない。というのになぜそんな高投票率が確保できるのですか。教えて、ベトナムのエライ人!

 どうやら以下が実情ではないか、と。ベトナムでも投票所で有権者カードを見せて投票用紙を受け取るが、その際に身分証明書を見せる必要がない。よって、実際には家族やらによる代理投票が横行している。さっそく若い人5人に聞いてみたが、ひとり投票しなかったとモゴモゴしておりました。Masako san,他の人には言わないでね。言ってない。でも書いた。ゴメン。
 さらに地区ごとの選挙管理委員会が成果を問われるため、投票所に来てない人がいると委員がその家に足を運びドアをドンドンたたく。いないなら代理投票でもいいと催促される。
 投票時間も原則朝7時から19時なのだが、100%投票が達成できそうにないとなると、朝5時から21時まで委員会の裁量で自由延長できます。日本の前回の参院選では、終了は20時なのにその1時間前に投票所を閉める町があったと聞いている。なんという違いだ。
 
 選挙日前後の外国人向け英字新聞に、北はハノイ近郊から南はメコンデルタエリアまでのランダムに選んだ有権者20人のコメントが載っていた。面白いことに、自分はもう高齢だが新しいベトナムを期待したいから若い候補者に投票すると答えた60,70代が多かった。18歳(ベトナムの選挙権は18歳から)から30までの人たちも、自分たちの世代に投票するとコメント。
 不思議といえば、誰も候補者の政策については言及していなかったこと。ベトナムでは、事前の選挙運動は一切なし。放送も微々たるもの。学校や病院のロビーといった公共の場所などに張り出される候補者一覧と略歴を見て判断するしかないんだそう。一部の家には(日本の新聞に折り込まれるような)一覧表が送られるというが、ウチでは見たことがないよ、とのこと。まあ共産党の一党独裁だし、人によって政策が違ってはならないから当然といえば当然なのか。
 最終結果が公表されるのは6月11日、と投票日の5月22日からかなり経過してから。当然日本のような出口調査もない。まあ、いろいろと不思議なんですが、誰も何も言わない。
 
 さる7月20日選出された494人の新国会議員が国会に出席した。テレビのニュースでちらっと見た印象では女性議員率30%といったところか。年齢については、40-50代が多いように見えた。

          
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              ©Saigon Giai Phong
      
 目立ったところでは、議長が女性のグエン・ティ・キム・ガン氏。美人である。私のブログを読んでいただいているかたには、オバマと一緒に魚に餌をやっている女性 (YouTube の0'26"を参照)と書いた方がいいだろうか。念のためお写真も。
         
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 と書いているところへ、東京から小池百合子さんが都知事当選という知らせ。
 さてどうなるんでしょう。若い世代に希望を持たせる世の中にしてほしいなぁ。


 ヤァ!ヤァ!ヤァ!オバマ大統領がベトナムにやってきた。エアフォースワンから降りて、夜まっさきに向かった先がハノイのブンチャー屋さん。素敵だなあ、オバマ。ハノイの人の心、鷲掴みにしましたね。

 ブンチャー(Bun Cha)とは、ハノイが誇るローカルフードの一つ。フォー(Pho)ほど有名じゃあないけれど、ワタクシ個人的にはこちらの方が好きで、週に一回は食しております。ホーチミンにもお店がある。ブンチャーは一言でいうとベトナム風つけ麺。
 Bun Cha Masako
ゆでた米麺のブンをニョクマム(魚醤)ベースのタレにつけて、豚肉や葉っぱと一緒にいただく。この肉、バラ薄切りと豚のつくねを炭火で焼いたもので、意外といけます。チャーコールでじりじり炙った肉からでる汁が滋味を醸し出すのです。って、ブンチャーの話になると止まらなくって。すみません。

 CNNで見たベトナム特有のプラスチック椅子に座ってブンチャーを食べるオバマの姿が強烈すぎて、翌24日の昼、パブロフの犬状態の私はよく行くブンチャー専門店を訪ねました。そこで目に入ったものは、ベトナム人の行列。安くて人気のある店ではあるんだけれど、行列とはねー。たぶんこの日、ベトナム中のブンチャー屋さんは繁盛したはず。オバマ・エフェクトその1。

 ようやく席につけました。でもなかなか注文を取りにきてくれない。給仕が茶髪の女性二人だけでしかも動きが新人っぽい。人手が全く足りないもんだから、男性客数人が自発的にブンの入った皿を取りに行っては届けたり、お箸を洗ったりしている。私のところにも持ってきてくれました。ベトナム男性は働かないと言われますが、何かが起きると、さりげなく実に献身的に動きます。この”何かが起きると”が重要なんだけど。ともあれ、働くベトナム人男性。オバマ・エフェクトその2。

 いつもは冷房の効いている室内に案内されるが、その日は室内が異様に混み合っていたので、オープンエアの方に、って単に屋外(笑)のテーブルに座っておりました。10分くらい待った頃、急に突風が吹いた。午後1時過ぎ。ザーッと効果音まで聞こえましたよ。激しい風で、地面に落ちているゴミやストローがテープルに飛んでくるわ、葉っぱが一枚顔にあたって私は派手なクシャミをしでかすわ、道を歩く女子のスカートがめくれるわ(本当ですよ)、クライマックスは給仕の女子が数人分のブンと葉っぱの乗ったトレイをひっくり返しドンガラガッシャン。まあ賑やかなこと。弊社の社員も別の場所にいて突風にあったことをfacebookに挙げていた。某筋によるとちょうどその頃、オバマの乗った大統領専用機がホーチミンのタンソンニャット空港に到着していたらしい。嘘のようだが、風と共にオバマ。オバマ・エフェクトその3。

 オバマがホーチミンにいた2日間、弊社の社員もずっとオバマー、オバマー(なぜかベトナム人が発音するとマーと長くなる)と言っていた。かくいう私もとある仕事で、 オバマがブンチャーを食べているTシャツという企画を出したらスタッフの一人が「Masako-san,それはすでに市場にあるから実現可能だ」という。で、販売先のWebsiteを見てみたら、そのTシャツはすでにSold Outである。動きが早すぎるぜ、ベトナム。その時、別のスタッフが「Masako-san, オバマが使ったといってもっとブームになっているものがある。それはオケだ」という。え、オケ?BBC Vietnameseの映像の26”あたりをみて欲しい。魚に餌付けをする時の桶である。ベトナム女性の一部でカワイイと人気らしい。桶。オバマ・エフェクト4。
*元のBBC Vietnameseのfacebook投稿までたどり着くのが大変なので、誰かがYoutube に挙げたものを貼っておきます。元投稿はすでに340万viewで9100コメント付き。他のネタより多いです。
 
 オバマ大好きベトナム人。ホーチミンのあちこちにまだベトナム戦争時代の戦車や米軍の飛行機が見受けられるのに、なぜこんなに純粋に喜べるのかなと思ったが、訳もない。国民平均年齢が27歳。ハノイで、ホーチミンで目をキラキラさせながらスマホを掲げるほとんどの人たちは、ベトナム戦争を知らない世代だ。そしてベトナム人特有の、悪いことはなかったことにしようという視点。それがいい意味でも悪い意味でも機能しているのではないかと。

 まるで好感度アップするだけのために来たオバマのようだが、実はかなりのビジネスマンぶりを発揮している。ベトナムの格安航空ベトジェットは、ボーイング社とボーイングB737 100機の購入契約を締結。契約額は113億USD(約1兆2300億円)で、米越間の貿易に関する契約としては過去最高額である。締結にはオバマとチャン・ダイ・クアン国家主席が立ち会った。
Vietjetむべなるかな。オバマ・エフェクト5。(手前が有名なベトジェットの女性社長。立っているのはお偉いお二人。不思議な光景)
 
 その他にもいろいろな取引が成立したが、ここでは書かない。私は専門家ではないので。ただかなりの額とだけ記しておきます。気になる方はこれを読んでね。因みにこの先の取材はできなかったらしい。
 
 さて、オバマがブンチャーとビールを一緒に堪能したおじさんは、BourdainといってCNNにParts Unknownという旅番組を持っていて、旅好きの人にはそこそこ知られている。元はマンハッタンにあるBrasserie Les Halls というフレンチビストロのシェフ。2000年以前なら「意識してなかったけどこのレストラン行ったことあるかも!」という日本人は意外といると思う(私もその一人だ。笑)。ま、彼とオバマの食事風景と対談が、9月から始まるParts Unknown のSeason 8初回に使われるのだそうだ。どうりで周りの客が平静だったわけだ。CNNですら、オバマ・エフェクトを利用する。

 

 9日ぶりにベトナムに戻ってきた。飛行機の窓から見えるライトはまだまだオレンジ色が勝っていて、白熱灯の古くて懐かしくて柔らかい光に、疲れが昇華されていく気がする。

 のも束の間。ホーチミンはタンソンニャット空港から市内に向かう私の目に飛び込んできたのは、新しいビルボードの数々。自分が関わったTOYOTAのビルボードは変わっていないが、新しいYAMAHAの大人っぽいビジュアル、SAMSUNGの新しいケータイの二連巨大ビルボード。
 驚いたのは、BMWのビルボード。知る限りではベトナムで初めてではないか。掲出場所が悪いので大抵の人は気がつかないかもしれないが、例のエンブレムをガツンとうちだし、Welcome to Ho Chi Minh City. BMWとある(*2016年4月21日現在、コピーがSheer Driving Pleasureに変わってました。何かイチャモンついたのかな)。車の写真はなし。ロゴに特化したブランド訴求。そういえば私がここに赴任したころ、Heinekenがホーチミンの空港にWelcomd to Ho Chi Minhと唱っていた。なんでオランダのビールに言われなきゃいかんの?と当初は思ったものだが、見慣れてくると、ただいまHeineken。いい企業だなあと思い始めたっけ。広告をあなどるなかれ。って、お前が言うなって感じですね。すみません。

ho-chi-minh-city-saigon-skyline

 そのHeinekenのビルドードは、毎年恒例サッカーのChampions League仕様に変わっている(トップスポンサーなので)。さらにはHYUNDAIのショールームが路面にオープンしているし、市場の近く中心地にある見慣れた古いバスターミナルのビル(というか小屋?)もなくなっているではないか。
 
 たった9日。されど9日。信号もいくつかモダンなデザインに変わっている。この街の成長の早さを思い知らされる。
 
 と同時に、一部のビルボードがホーチミンおじさんの肖像を描くプロパガンダに変わり始めている。なぜならあと10日強でやってくる4月30日が独立記念日だから。去年は記念すべき70周年だったため、街中すべてプロパガンダになったり通りが閉鎖されてパレードが行われたりして、ここは北朝鮮かと錯覚を起こしそうだった。
 
 外資に押され押されての資本主義と共産主義のはざまで、ベトナム人のみんなは何を感じているのだろう。


  

 今朝は友人の訃報をfacebookで知り、またたく間に目が覚めた。今週末は久々のオフで、日曜こそ惰眠をむさぼるぞと密かに(ちっちゃいねー)楽しみにしていたのだが、脳がいったん起きてしまったからには無理だなと諦めた朝7時。
 Peter FreedとJohn Mannというアメリカの脳科学博士の調査によると、人は悲しい写真や事件を体験すると、脳の70カ所以上が同時に反応する。特に知人の死を体験すると痛み、孤立、意思決定といったマイナスの現実だけでなく、その人と共有したプラスの記憶、感情もたくさん思い出されるものだから、脳の動きが複雑になるんだそうだ。
 面白いことに数年前に彼にフリーズしたMacを直してもらったことや、10年ほど前に彼の自宅で食事会をしたときの鍋の中身を、真っ先に思い出した。つい2週間前に友人がベトナムに行くのでよろしく、というメッセージをもらっていたっけと思い出したのは、ほんの1時間前。記憶はどういう風にひもとかれるのだろう。
 
 昨日は、私がベトナムに来てから一年とちょっと一緒に過ごしたエージェンシーTraffic Managerの女性(写真向かって右。)の送別会だった。新しい写真を撮りたかったが、iPhoneのストレージがいっぱいで取れなかった。雅子のバカ。
  
Hong Anh
 Trafficとは文字どおり交通整理。クリエーティブのスタッフの仕事状況とか、それぞれの仕事の流れを把握して、人をアサインしたり、競合前にスケジュールをたててくれる仕事。ベトナムの今の環境では、少人数で同時多数の仕事をこなさないといけないのと、それぞれスタッフの得手不得手ぶっちゃけ能力が異なるため、暖かい視線を持つ彼女のさりげないアドバイスは、とっても助けになった。彼女がいなかったら、私はやっていけなかっただろうと感謝している。
  私生活でもいろいろな会話をした。妊娠中のあれこれ(私は子供を産んだことはないが、友人たちのエピソードで知識豊富な耳年増。じっさい年増だが)や髪の毛が丈夫になるにはどうしたらいいかと聞かれ「わかめとひじきを食べた方がいい」と言ってマレーシアで仕入れたブツをあげたら「日本人はこんなに質素なものを食べるのか」と言われ、大笑い。彼女の旦那になる人がアメリカ在住アメリカ国籍のベトナム人で、自分もグリーンカードを申請してるんだけど待ちの状態がずっと続いている、どうしたら早く取れるかと聞かれた時はひとつ裏技を伝授したが、あまり役に立たず。決め手は、彼女が妊娠して旦那さんの子供を産んだことで、さらっとグリーンカードが取れた。アメリカ、かっこいいぞ!それで今回彼女はめでたく海を渡る。そして彼女はたくさんのHelloから新生活をはじめる。
 
 今年1月から2月にかけて、私の元にかなりの数のCV(履歴書)が送られてきた。楽に50はある。まだ見きれていない。なんでやねんと思っていたら、テト(ベトナムの旧正月)明けにはベトナム人の67.8%が退職、転職を希望すると書かれた記事に出くわした。なるほど。リセット志向、それとも冒険好き?というわけで、うちのエージェンシーからも優秀なスタッフが新天地を探して去って行く。
 
 冒頭に書いた彼は、PRESIDENTという雑誌を有名にし、数々の勉強会、組織の中心で人をうまく交流させる名人だった。これほど言葉で人をいい気持ちにさせることのできる人は、あまりいない。編集者のお手本のような人だった。ローマの塩野七生さんがこのニュースを知ったら、さぞ悲しまれることだろう。
 
 まだ気持ちをうまく整理できない。でも一つ言えることがあるとすれば、数々のHello, Goodbyeで世の中はできている。
 

 
 

 

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