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11月20日 赤が黒
 カタール0ー2エクアドル 

 赤いユニフォームのカタールが黒星を記録してしまった。開催国が初戦で負けるのは22回のW杯史上初めてのこと。ただ、これは予測できたことでもある。①26名全員が国内でプレイする。外を知らない。②ツルッとした頭のサンチェス監督はスペインのバルサの育成指導を経て、2006年からカタールの国家的な育成プロジェクトに関わってきた。選手のことは誰よりも、たぶんカタール人よりよく知っている。しかし
W杯の戦術については詳しくないだろう。ナショナルチームの監督は、自身が出場経験があるか、他国の監督を経てきた強者が望ましい(日本やオーストラリアの歴史を思い出してほしい)③W杯予選を突破したことがないチームが本戦出場するのは初めて。カタールは出場権を金で買ったと言われてきた所以だ。
 
 開始後3分でエクアドルの主将バレンシアがゴールを決めた。と全世界が思い込んだ。しかしオフサイドと判定された。性格の悪い私は一瞬「あ、これも金で買った?」と思ってしまったが、イタリア人主審の不満そうな顔がアップになった時点で事情がちがうと察する。
セミオート・オフサイドテクノロジー(以後、用語でVAR)による判定で、映像ではエクアドルの別の選手の足が微かにオフサイドラインを出ていたのだ。ごめんなさい、カタール。

 その後、縦に横に黄色いユニフォームが舞うエクアドルの一方的な試合だった。ディスターシャを来た中東のお金持ちのがっかりした顔や、こっちまで聞こえそうな舌打ちをするサンチェス監督の映像が差し込まれてシビアだった。
  
 初めては誰にでもある。悔いのないプレイと現場の雰囲気をカタールの選手には堪能してほしい。「お金で買えない価値がある」と謳ったのは2006年まで大会スポンサーだった赤と黄色のマークのマスターカードだったか。

  


 
7月3日 ハメス・ロドリゲスの涙と泰然自若ケイン
コロンビアーイングランド 1−1(PK3−4)

 イエローはユニフォームだけで十分。カードはいらない。コロンビアに大声で言いたいほど酷い試合だった。イエローカード、計8枚。フリーキックはコロンビア15, イングランド23。前日のベルギーー日本がイエロー1枚、フリーキックが10:14だったことと比較してもファウルだらけの試合だったことがわかる。

 主将ケインはこの1試合だけで9回ファウルを受けた。1998年W杯でシアラーが対チュニジア戦で11回。それに次ぐ記録。イングランドのメモによるとシアラーが11回受けたのは彼にも責任がある(HE DESERVED IT)と書いて合った。ケインはパスをしないことは以前書いた。ファウルもしない。されても嫌な顔一つしない。争いが起きると間に割って入る。泰然自若。それをサウスゲート監督が見出して、Tweetに絵文字を多用する24歳を主将にした。

 日本に香川のPKをもたらしてくれたコロンビア6番サンチェスは、この日ケインに抱きついてPKを献上する。2度目。既に彼の元には殺してやるという脅迫がきている。1994年コロンビアでやはりPKを演出し射殺されたエスコバルを思い出す。冗談にできないのが怖い。話がそれたが、ケインの偉いところは、ちゃんとPK をど真ん中で決めたこと。ベッカム、オーウェン、ルーニーはそれができなかった。
5人のケイン
 延長30分間際からTwitterに溢れたイングランドの期待

 ケインがPKを決めた時、ハメス・ロドリゲスは涙をたたえ観客席のガラスに持たれかかる。自分が現場にいたらこんな流れにはならないというもどかしさ、怪我でロクな活躍ができないおのれの情けなさ。カメラは逃さない。ケインのゴールを待っていた少年と対比する。
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 ヒーローは弱さを見せちゃいけない。その場にいないのは、もっといけない。4年後は必ずピッチにいて欲しい。
覆うハメス
     嘆くハメス
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   途中ペケルマン監督と全く同じ指示を出すハメス




 
    


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