風に吹かれてルアンパバーンという街に行ってきました。
 一年半前、村上春樹氏の「ラオスにいったい何があるというんですか?」を読み脳みそに要チェックとポストイットしていたところに、バンコクに住む友人がこの街での素敵な滞在記をFacebookにアップしていたのをつい先日見てしまった。ま、引き金が引かれたというしかありません。


 ルアンパバーンは、かつてのラオスの首都。自然とフレンチコロニアルの木造低層住宅がうまく共存していることが評価され、文化的遺跡保護観点から1995年世界遺産に指定されました。ベトナムにある街ごと世界遺産ホイアンにちょっと似ている。違いがあるとすれば、60ほどある寺と、オレンジ色の袈裟をきた僧侶という宗教的要素がアクセントなことでしょうか。

 で。フラリと来たはいいものの、いったいラオスに何があるんだろう。拙宅の妹からもなんで?と問うLINEが送られてきた。
LINE

村上本タイトルの慧眼に脱帽してちびちびビールを飲む私。

 ホテルの人に尋ねると、まずは朝の托鉢(たくはつ)だろうというので、朝5:30に起きて行ってみた。うすら明るいなか、オレンジの袈裟が点線になっている。僧侶が粛々と列をなして歩いていました。
托鉢

 ラオス人のおばさんが手のひらでこっちゃこいと呼び寄せるので、これも経験と地元の人の間に座って初めての托鉢にトライ。ゴザをしいて正座。おばさんに渡された籐籠からもち米を片手でひと握りし、僧侶の籠に順番に入れていく、いわゆる喜捨です。見よう見まねでやるのだが意外にこれが難しい。もち米なので米がむっちりくっついている。適量を取り出すのが難しく、大きな塊だったり小さな塊だったり。もたもたしていたら私の前で坊さんが渋滞していた。ごめんなさい。

 一つの寺から20人前後が一つのグループ。次の寺のグループまでしばし休息ができるので、お寿司の一貫よりやや小さめをたくさん作りおいて渋滞が起きないようにしてみました。急にスムーズに喜捨できるようになると、こちらも余裕ができて僧侶の顔を眺めたり、敬意を込めて微笑んでみたのだが、え?何?みたいな顔をされる。その反応をみた隣のおじさんから、目線は下にするようジェスチャーで教育的指導を受けちまいました。ごめんなさい。常識がなくて。こればかりは調べておくべきだったな。下から目線NG。
僧侶1


 

僧侶2
           (おじさん、靴下はNIKE)

 約一時間の間に2籠のもち米使用。隣のおじさんに、一回のもち米の塊が大きかったからだろうとジェスチャーで指導される。まあ、少ないより多い分はいいよね。次は完璧ですよ。自信あるもん。あと座って下から喜捨するのは女性だけ。男性は立つか、足の悪い人は椅子に座ってでもいいそうです。

 托鉢後におばさんにもち米代金を請求されました。 なーんだ、商売だったのか(笑)。40000キープ(約700円)。高いのか安いのかよくわからないけれど、一時間ほど無心になってひたすらお米をつまんで気持ちがスーッとしたのは事実。自分が修行することはできないから、僧侶に托鉢をすることで自分の不浄をはらっていただくみたいなことでしょうか。そういえば東京で茶道の稽古をしているときも、無心になれた。
たまには無心になろう。
 
    あ、大事なことを最後に。村上春樹本のタイトルの理由は、村上さんが日本からルアンパバーンに向かうとき、経由地で一泊したハノイにて、ベトナム人から「どうしてまたラオスなんかに行くんですか?」と不審そうな顔で質問されたことから。

 教訓*上から目線はダメだが、下から目線もダメ。