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6月30日 2トップの4年越しのドラマとPSG
ウルグアイーポルトガル 2−0

 驚きの事実を前菜に。メッシもロナウドも世界一を競うプレイヤーなのに、決勝トーナメントでは過去どのW杯でも1点も獲っていない。

 本日のメインは前半7分、後半17分と2点叩きつけたカバーニ。密かにイケメンである。ウルグアイといえば噛みつきスアレスだが、この日スアレスはカバーニへの送り手に終始した。2014年W杯のウルグアイーイングランド戦では、スアレスの2ゴールはカバーニがアシストしていた。世にも美しい物語を持つ2トップ。
カバーニ雄叫び
   
カバーニの雄叫び

 カバーニは2013年からPSG(パリサンジェルマン)所属。イブラヒモビッチの次点FWとしてチームに貢献してきた。2016年にイブラがマンUに移籍してからは、イブラが作ったクラブ最多得点記録を更新。あきらめることなく、歳を重ねても衰えることなく成長してきたストライカーだ。この試合で途中怪我で退出したのが気になる。なぜなら次の試合に欠かせないからだ。
カバーニとロナウド
  足を引きずるカバーニを支えるロナウド
 
 前稿に書いたエムベパ(ムベッパ)もPSG所属。エムベパがなかなか表に出られなかった理由がここにもあった。次の試合はフランスーウルグアイ。PSGの先輩後輩の戦いになる。見逃すわけにいかない。

 デザート。16強の試合からボールは赤いものに変わった。ポルトガルの白地に赤アクセントのユニフォームとはとてもマッチしていた。
Adidas Mechta



今日から3ラウンド目。日本時間23時と27時に2試合ずつの開催になります。これは結果を見てチームが1位突破か2位突破を調整する、公式ビッドの掛け率に影響する、ぶっちゃけ八百長、などを避けるために、各グループ同じ時間に試合を実施するもの。おかげで睡眠は取れるものの、何を放映するかはテレビ局のチョイスに委ねられるため、裏の試合は見られないことに。ちょっぴり残念。

6月25日 VARは空気を読まない。変えてしまう
イランーポルトガル  1−1

 今大会優等生だったロナウドが、やんちゃ坊主に戻った試合でもあった。後半5分、ロナウドがペナルティエリア中央で倒れこむ。VAR判定の結果、PKに。意気揚々と蹴るが、ロナウドの地を這うシュートは球筋をしっかり見据えたGKにキャッチされる。

 この直後イランのFWアズマンにイエローカードが出されてから、会場はイランサポーターの重い声援(これがブーイングなのか励ましなのか、筆者にはわからず)で異様な雰囲気になっていく。

 シュートを外し足元を削られるロナウド。表情は苦笑いを超えてかすかな怒りをたたえ始める。後半36分ロナウドがイランDFにひじでこずいたことで2度目のVAR。ロナウドにイエロー。チャンスとばかりにイランは攻めの選手を次々投入し、会場はイランの縦の攻めが光り出す。

 後半終了間際でポルトガル 選手のハンド疑惑が生じ、3度目のVARへ。やってられんわという表情のロナウド。ロスタイム、判定でとったPKをイランの10番アンサリファルドがゴール右上に見事に決めた。1−1の同点。イランはその後も果敢に攻めるがゲームセット。あと5分あればイランが勝ったかもしれない。ロナウドのPKを決めたイランのキーパー、ベイランバンドは、誇りに思っていい。一生自慢していい。 

 VARはいい制度だ。ただ過度の使用にお気をつけください。そんな読後感。

ロナウド&GK
         ゴールキーパーをガン見するロナウド

ロナウド劇場、最高。深夜にライブで観てあまりに面白かったので、午前中に再放送を。半日で同じ試合を2回観るなんて初めてですよ。

6月15日 俺様ロナウドを支えた男たち
ポルトガルースペイン 3−3 ソチ

 大した男である。クリスティアーノ・ロナウド(以下ロナウド)。コイツがなんかやらかす感は、ポルトガル国歌斉唱の時から感じられた。先発メンバーがみんな正面向いてマジ顔で歌っているのに、ロナウドだけは右30度斜めを向きハツラツと歌っている。この人の顔は正面から見るといかつくて怖いが、左から撮ると意外と美しい。見つめる先に誰か気になる人が居たのか国歌斉唱時のカメラの動きと角度を計算していたのかどうかはしらないが、やはり一筋縄ではいかない感がある。
ロナウドキック

 結果は3−3の引き分け。3点全てをゲットしたロナウド、W杯初戦からハットトリック達成である。開始4分もらいに行ったPK(ペナルティーキック)で1点。前半終了間際の2点目は横からのこぼれ球を利き足じゃない左足でさらりと決める。3点目は後半終了間際のFK(フリーキック)。ボールは優美な奇跡を描いてネットに吸い寄せられた。スペインもディエゴコスタの2点とDFナチョの見事なミドルシュートで3点を記録。
ロナウド結弦1
ロナウド結弦2
ロナウド結弦3
        
フリーキックを決めた後、ロナウドが魅せる羽生結弦ジャンプ

 ALLスペインvsロナウド単独のように見えた試合だが、内容はちょっと異なる。ポルトガルースペイン戦の試合データを見てみよう。ボール保持率は32:68。パス成功率は85:91。パスの総合数は330:692。以上よりボールをくるくる回して試合を支配していたのはスペイン。さすがパスサッカーの国である。面白いのは次の数字だ。チームの走行距離は102.49km : 102.93km とあまり変わらない。つまりスペインがボールをこぼすレアな機会を待って、ハイエナのように走りまくる選手がいるということだ。

 もともとロナウドはよく走るので有名だが、今回目立ったのは5番のラファエル。DFでありながらゴール前まで走ってはボールをロナウドにパス、右に左にボールを取りに行っては一人おいてロナウドに繋げている。個人記録を見ても、パスの成功数はチーム内ダントツ。ドリブルもクロスも正確に決めていて、あまりポルトガルらしくないサッカーをする。

ラファエロ

香川と同じドルトムント所属の24歳。フランス生まれのフランス育ち。現在のドルトムントでは、その運動量と動きの正確さからサイドバックからインサイドハーフ、時に両サイドアタッカーと大活躍している。フィールドでは大きく見えたが身長は170cmと小ぶり。ポルトガルがどこまで勝ち続けるかは、ラファエルによるところも大きいと思う。

 今回、意図せずロナウドを支えてしまった男がスペインにも二人いる。最初のPKのきっかけを作ってしまったレアルの同僚ナチョと、ロナウドの背中を両手でど突いてファウルを取られFKを与えてしまったピケだ。ロナウドがFKを決めた後、カメラは容赦無くピケの哀しそうな表情を捉えた。いつだって主役が輝くには、脇役が必要だ。



 4年に一度のW杯の季節になりました。

2002年から始めているこのプチコラム。4秒程度で読み流せて、サッカーに興味のない人にも楽しんでいただける視点で書くのを基本にしています。なお過去ログはこちら(故
岡本呻也氏ブログ)

 いま私はフィリピンのマニラ在住です。東京在住時のように全試合を録画して見ることもできないため、毎日展開できるかどうかわかりませんが、よかったら駄文におつきあいください。

筆者プロファイル:サッカーをミシェル・プラティニ氏に師事。プレミアリーグChelsea FCのシーズンシートホルダー。本業は広告代理店のクリエーティブディレクター。湿気が苦手

6月14日 やらかしちゃったロビー・ウイリアムス
開会式 モスクワ 

 オリンピックの開会式ほどではありませんが、W杯もときどき興味深いことが起きます。昨夜の開会式は、しょっぱなから物議を醸し出しました。あるシンガーが歌い出したのですが、この人誰?観ていた人の半分の人の吹き出しには?マークが浮かんだと思う。
ロビン


 あのロビー・ウイリアムスですよ。Feel 。一世を風靡しましたね。当時私が東京でプロモートの一環でもらったDemo CDジャケットでは彼が白馬に乗っていた。
 
 赤いスーツの彼がLet Me Entertain You, Angels と持ち歌を
披露していきます。声を聞くと確かにロビーなんだけど、白くなりかけた頭髪がみんなの感情のどこかにブレーキをかける。そんな中で事件は起きたのです。Rock DJを歌うロビー、中指を立ててしまった。

ロビン中指JPG

  この映像をバッチリ捉えてしまったFOXは謝罪のメッセージを出すわ、Twitter 民は怒るわ、イギリス国民だけは ”さすがロビー、やっぱりイギリス人だぜ ” とはしゃぐわ、ロシアは法的に訴えると息巻くわ、今後の展開が楽しみです。

 と単純に流したいところですが、ロビーの名誉のために書いておこう。実は彼はLGBTの活動家としても有名です。ご存知のようにロシアはゲイカップルに対してとても厳格で、いまも露骨な差別をする国。おそらくその事実に彼なりの抗議をしたかったのかもしれません。

 プーチン閣下のふわふわブラもおかしかった。マイクの保護カバーがこんな形だったがゆえに起きた喜劇。短い中にツッコミどころ満載の開会式でした。
ふわふわプーチン


 

 



 



7月13日 飛躍と衰退は同時に。

○ブラジルーオランダ 0-3 ブラジリア

○3位決定戦 ブラジルードイツ   1-7 ベロオリゾンテ(7月8日)

 

 ブラジルにいったい何が起きちゃったんだろう。明け方試合を見終わって、いや7月8日ドイツに7-1でブラジルが致命的大敗をくらってからずっと頭の片隅に巣食っていた疑問がむくむく肥大する。このもやもやを放っておくままW杯が終わると気持ちが悪い。2つの仮説を立ててみた。

 2002年13/23。06年3/23,、10年3/23,、14年4/23,。何の数字かおわかりだろうか。ブラジル代表23人中、コリンチャンスやサンパウロ、フラメンゴなど南米のクラブでプレイする選手の割合である。南米所属が13人いた2002年日韓大会で、ブラジルは優勝。この時キラ星のごとく活躍した選手だったジウベルト・シルバはアーセナルへ、カカはACミランへ。そしておばさん頭とちょっぴり出っ歯が愛らしかったロナウジーニョはバルサへと、W杯後ヨーロッパの大クラブへ移籍を遂げる。彼らにとってW杯は、移籍を、大金を手中にするための踏み台だった。

 06年ドイツ、10年南ア、14年ブラジル。3大会ともスター選手を揃えるブラジルだけに下馬評は高かったが、結果を出せずに終わる。上述の数字が示すように殆どの選手がすでに大クラブでプレイしている状態は、もう人参というエサがないことを意味する(因みにネイマールは2013年にサントスからバルサへと移籍済み)。さらに昨今のヨーロッパクラブリーグの強行スケジュールだと、ブラジル代表として顔を突き合わせる時間がない。もともとサッカーはカラダに染み付いた習慣であり考えるものではない(失礼!)彼らからすれば、日頃プレイを見てない同僚たちとチームを組み立てることは難儀だろう。監督がそういうことに得意な人であれば別だけど。

 そこで監督である。今回の監督はスコラーリ。02年はロナウド、リバウド、ロナウジーニョといったファンタジスタを生かした攻撃でブラジルを優勝に導いた名将である。その後ポルトガル代表監督に就任。EURO2004ではチームを準優勝させた。当時のポルトガルにはデコ、ルイコスタ、そして出てきたてのクリスチアーノ・ロナウドがいた。つまり芸術的な技術でボールを操りゲームまで創りだすファンタジスタ、とそれをサポートする選手がいるチームなら彼は指揮をとりやすいわけだ。2008年から09年にかけ、彼はプレミアリーグのチェルシーの監督になる。モウリーニョの戦略、戦術に慣れていた選手たちは、スコラーリの戦略のなさ、練習の単調さに不満を持ち、ドログバやテリーは改善を求める。その後成績悪化からシーズン途中での解任。圧倒的なタレントがいないチームでは、彼は弱い。

 そう考えると、ネイマールを欠いたドイツ戦、オランダ戦でいとも簡単に負けたことがすとんと腑に落ちる。

 ただオランダ戦で3分目のPKはブラジルにとって不幸だった。ロッベンのダイブはペナルティーエリア外だったのに。オスカルのイエローは不運だった。明らかにダレイプリントに足をかけられたのに。終了直前にオランダのGKシレッセンが第3GKフォルムに交代。オランダW杯登録23人全選手出場という思い出作りの舞台にされたこともブラジルにとって屈辱だった。これだけの不幸が重なることもそうあるまい。危機は、よい状態に向かうための機会でもある。数年前のカンヌ広告祭で元アメリカ副大統領がそう言っていたことを思い出した。ブラジルなら大丈夫。ユニフォームを着てベンチ入りしていたネイマールが、次のW杯で頑張ってくれるはずだから。

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