4月3日、東京の著名クリエーターがまだ撮影を続けることの危険性をTwitter にアップしていた。日本はまだ現場が頑張っているのかと軽く驚く。撮影現場こそ、3密の巣窟(©︎小池知事)である。他の国の放送、広告業界は3月半ばから期限付き撮影延期、国によっては無期限延期をうたっている。フィリピンの広告業界も対応が早かった。以下メモとして。これはCNN Philippines のニュース。レポーターたちは3月16日から自宅から語りかけている。Report From Home 。
CNN reporter 0328
   CNNのFB画面。ドウテルテが自宅隔離を4月10日まで実施すると。
   自分の誕生日3/28に発表するところにPRセンスを感じる。チャット
   画面には視聴者が続々と書き込んでいる。
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3月15日日曜
夕方にメールが続々届く。昨日3月14日のマニラ首都圏ロックダウン宣言を受けて、フィリピンの広告制作プロダクション連盟から ”スタッフの安全を第一に考えるので4月14日まで屋外、スタジオの撮影を中止する。再開は政府の宣言を参考に決める” と。
CPHG on community quarantine

プロデューサー連盟(参考までに。
フィリピンではフリーのプロデューサーの機動力&権限がデカい。もちろん制作プロダクションにプロデューサーはいる。二人は協働するが、前者がエージェンシーと相談して現場でも最終指令を出す)からはもっと具体的なお願いが記される。”ロケ現場が限られる。郊外に住むスタッフがマニラに入れない。ナレーション声優も選択肢が少ない。タレントが出演を渋り始めた。こんな状況ではベストのものを作れないのでしばし撮影はストップしたい。同時に企画もストックフォトやフッテージでやってもらえないか。アニメーション、モーショングラフィックスも対応可能である。仮編、本編もオンラインでできる限り進める。ご心配なく
JAW-covid memo 3.13.2020_page-0001

お伺いではない。宣言である。最初は驚いたが行政の宣言を受けての決定なので、そういうものとエージェンシーもクライアントも受け止める。潔くてよい。フィリピンのよいところである。数時間遅れて例に漏れず、編集・音響プロダクションも16日から営業を停止するとの通知が。うがー。

前夜Viberで送付された本編素材を速攻確認。修正箇所が多少あるので日曜中に対応できるかとダメもとでプロダクションに伺いをたてる。同時にクライアント側に3月末のキャンペーン開始を少し延期しないか、何故ならば新製品が出てもみんなの関心が得られるとは考え難いから。と提案してみる。4月半ばに延期する(その後5月に変更とアップデート)と速攻返事。理解あるクライアント。ありがたい。もう一つのクライアントも4月末に延期すると。ありがたい。フィリピン、素晴らしい。日本も行政が宣言さえすれば撮影延期、リモートワークに踏み切れるだろうに。

3月16日月曜
午前中は編集素材をオンラインでチェック。修正点をシェア。ロックダウン終了後にリマインドする必要はあるが、キャンペーン開始が延期されたので急がなくてもよい。

夕刻ドウテルテがEnhanced Community Quarantine 強化された隔離宣言つまりロックダウンをルソン島全土に拡大すると宣言。フィリピンは7400島からなる島国。ルソン島はマニラを含むフィリピンのメインで人口過半に当たる5700万人が住む。日本でいうと本州の完全閉鎖にあたる。都道府県の市、区間の移動も禁止みたいなニュアンスだと思っていただきたい。そして夜10時過ぎに、外国人は17日0時(つまり16日深夜)から72時間以内なら出国してよいとアナウンス。珍しく深夜のニュースを追いかけていたので、反射神経的に19日の東京行きフライトを予約する。もともと3月末に人間ドックやらで一時帰国する予定だったので若干出発を早めると思えばいい。そんな甘い認識だった。なんで外国人だけいいの?とフィリピン政府視点で思いを燻らせていたら、眠れなくなってきた。

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日本のエンタメ、広告界がなかなか撮影延期に踏み切れないのは、政府からの明確な宣言がないからだろう。これ以上自粛に頼るのは明らかに違う。4月7日に緊急事態宣言が出ると聞く。徐々に情報を出して市場に混乱が生じさせないよう配慮しているのだろう、と前向きに考えてみる。忖度Japan。

*これを書いたのは4月5日です。状況は変わっています。