旧正月を利用してミャンマーに行ってきました。ホーチミンからミャンマーの玄関ヤンゴンまで2時間10分のフライト。空港の到着ターミナルが新しくインテリアのセンスがいいのには驚いた。ベトナム、頑張ろう。
 
 想定外に楽しかったのが、ヤンゴン環状線。イギリス統治下のビルマ時代に引かれた列車で、全長45.9km、39駅をぐるりと約3時間で回ります。山手線が34.5km/29駅を58分で一周するから、それよりゆっくりしたスピードとお考えください。

 ドアがない。窓はあるがガラスはない。座席は木あるいはプラスチックの横にどーんと伸びる長椅子。正直いって座り心地はあまりよろしくないけれど、これが現地の人には一番いいとわかるのは後になってから。
 車両自体は古いが、どれも広告でラッピングされていました。これはRedBull Train。他の列車をみると、現地携帯電話大手、コーヒーなどがスポンサーでした。

RedBullTrain

 私が乗った列車はYangon中央駅を10:10発の予定だったのに、出発したのは10:30。始発は6:10。途中1時間に1本くらいの割合で走行し、終電は16:40。使い勝手がいいのか悪いのか、さっぱりわかりません。はて。いったいどんな人が利用するのか観察してみた。

 その1。仕事場にしている人。
 電車内での通話はやめましょう。なんていう日本っぽい標語はここでは通用しません。かかってきたらスマホをとる。しゃべる。大声しかも長い。そして別の人にかける。座席に片膝たてて書類を広げては仕事をする。
Man in Train

この写真の男性は、1つのスマホでしゃべり、もう一つのスマホで計算していた。横のインド人っぽい美人女性はスマホと鏡をかわりばんこに見ていた。
 
 ここは野菜卸女性たちの仕事場でもあります。途中、市場がある駅に停車。そこから乗り込んできた皆様のたくましいことたくましいこと。横向きに座って、野菜を取り出して、小売用に一束ひとたばまとめて輪ゴムでくるり。茎のはしっこはハサミできって車窓から外へポイッ。
VegitableLadies
        (この人たちは行儀のいい方です)
 カリフラワーを小分けする女性も安定した仕事ぶり。まだ20代と思われるか細い女性が手のひらにカリフラワーを乗せては工作用のカッターで厚さ2cm程度に切っていく。列車がガタガタゆれるから、手を切りはしないかと向かいからハラハラしながら見ていたら、問題なしとでもいうようにニッコリされました。なんていい笑顔なんだろう。
 
 その2。食堂にしている人。
 始発のヤンゴン中央駅では水売りの子供たちが。その後駅に止まるたびに、スイカ、りんご(中国産の三流品)、みかん、カットパパイヤ(これはベトナムにもある)などを持った20代前半の男女が乗り込んでくる。すると乗客は待ってました!とばかりに引き止めて買っては車内でガッつきます。売る側は一駅か二駅移動する間に仕事をしては、ひらりと駅に降りて次の車両を待つという仕組みのよう。歩かない行商人。
WatermelonLady

12時前後になると、ローカルの麺料理が登場(白と黄色があった)。これは頭上のカゴとイスを床において調理して、全てをビニール袋にぶち込んで振っては出していました。横のスペイン人カップルは注文したが完食は無理だった様子。私はゆでトウモロコシを買いました。横のおじさんが買ったのが美味しそうだったので。かぶり付く。ほんのり甘くて美味しい。値段がわからないので500チャット(50円)渡したら400チャットお釣りがきた。え、100チャット(10円)?参りました。ちなみに私のあと次から次へ乗客が買って、このトウモロコシ兄ちゃんは一両で商売終了。よかったね。
 
 その3。瞑想する人。
 ミャンマーは仏教国。歩けば僧侶にあたります。この列車にも乗っておられました。長い座席だから、安心してあぐらをかける。果物をガッツリ召し上がったあと、瞑想されてました(首が動いていたから寝ておられたのかもしれん)。男性一人、女性一人。ミャンマーは女性の僧職も多いのです(この項は改めて)。

 その4。イチャイチャする人。
 意外といるんだな。昼間っから。
Love
        この写真の人たちは、とても好感がもてた。なんでだろ。

 その5。移動する人。
 そもそもこれが第一であるべきですよね、普通。時間を気にしない学生さんたちが時々乗ってきては、窓から外を眺めていました。

 車窓から見える人々の暮らしや平原に広がる緑色の畑も興味深かったのですが、何よりも人間模様が面白くて気が付いたら一周してた3時間でした。料金は200チャット。20円でこんなに楽しませていただけるとは。もしかしてミャンマーで一番面白かったかも。
 
 親切だった駅員さん、車掌さん、ありがとうございました。