負けたけど結果はついてきた。次はFIFAランキング3位で優勝候補の一角、ベルギーと対戦。凄いことです。

6月28日 負けるが勝ちを選択できるリーダー
日本ーポーランド 0−1

 後半37分武藤に変えて長谷部を投入したとき、西野監督の博打を見た。ケイスケホンダじゃないんだ...セネガルーコロンビアが0−1になり、そのままならフェアプレイポイントで優位の日本が2位で逃げきれる。だから自力じゃ何もしない方向で行くのか。ほほう。

 西野監督は普段から’アグレッシブ’に攻めるを選手に繰り返し伝えていた。この日もハーフタイムのロッカールームでは「守りきる頭はおいて行ってくれ。アグレッシブに行って欲しい」と指示。その後コロンビアの動きを知っての180度軌道修正。だから優秀な伝書鳩、長谷部を入れる。「このままでいい。無駄に動いてイエローを取られるな(実際血気盛んな槙野が危なかった)。4−1−4ー1のディフェンシブなままで」監督の指示は見事に伝わり、モニターの前の私たちは世にも退屈なパス回しを見せられ、フィールドの選手たちは怒涛のブーイングにさらされる。

 他力本願。’アグレッシブ西野’にはしんどい選択だったろう。しかし結果のためなら、個人の信条なんて捨てて戦術を変える。1994年のドーハの悲劇(3分のロスタイムを流せば勝てたのに最後無駄に攻めて相手に同点弾を決められW杯に出られなかった)を見て、1996年マイアミ五輪(ブラジルに勝利したマイアミの奇跡。2勝したにも関わらず得失点差でグループリーグ通過できず)を自ら経験したアグレッシブ西野ならではの決断。長年後悔し続けた失敗から導かれた、瞬時の選択。
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     1996五輪チーム。城、伊東、西野監督、松田、川口。©️週刊ポスト
前園西野
      キャプテン前園と伊藤英明(西野監督) ©︎Jリーグ

 コロンビア戦、セネガル戦でミスをした川島を起用するだけでなく、彼にキャプテンマークをつけさせたのも英断だ。日本中の「川島を変えろ!」というブーイングを背中に、俺はお前を信頼しているというメッセージを送る。

 ラスト10分のパス回しは、ユーロやW杯ではよくあることだ。勝つためならアリ。この試合は負けても次のステージに上がれるなら、それもアリ。面白いことに、ゲーム直後複雑な気持ちだった私にイギリスやアルゼンチンの友人から ”Well done, Japan" とメッセージが相次いだ。面白い。強豪国に認めてもらった瞬間。仲間入りとはまだまだおこがましくて言えないけれど、こういう経験を経て日本はNext stage へ進むことができる。
      
 そういえばアグレッシブ西野、今回6人先発を変えて主力を温存している。この博打が次のベルギー戦でも機能するといいなあ。